「サイの目斬りぃ!」 「入子刀にござる!」  荒れ果てた校庭裏に、金属音がこだまする。  ――キン! キィン! キキン!  戦っているのは、三人の怪人たち。【食】をモチーフにした悪の組織、フーダーズの構成員たちだ。  いや、そのうち一人は元(点)構成員というべきだろう。 「う……んっ♡ おっきぃのたくさぁん……。こんなにいっぱいボク困っちゃうよ、あぁんっ」    パティシエ怪人デスコレート。  女怪人にして元フーダーズの大幹部でありながら、今は組織を裏切り銀星戦士シルバー・ブリッツというヒーローの相棒をやっている。  華奢な体躯には不釣り合いですらある豊満なボディを揺らし、クリーム色のショートヘアを煌めかせて、2対1の厳しい戦いを続けていた。  そして、そのデスコレートを追い詰めんとしているのは。  ――カキィィィィィィン!! 「二人がかりですまんのうデスコレート様。アンタに恨みはないんじゃけぇのう……!」  褐色の肌に、4本の腕。筋骨隆々の大男。頭にはソバージュヘアのようにちぢれた広島お好み焼き。  屋台怪人、オコノミ入道と。 「フ、元(点)大幹部殿も卑怯とは言うまいて。勝つ為ならばあらゆる手段も使うのみぞ、オコノミ」  全身黒装束の隙間から、鋭い目を覗かせた忍び姿。  出汁取怪人の猪慎三。  精強にして屈強な、怪人コンビだった。 「我ら二人の連携は!」 「おっ、おう! 大幹部にも負けないきにぃ!!」  ――ジャキキキキィン!  ――ドカァァァァァァァッッッ!  走る斬撃。轟く爆音。  都内みどり高校学園祭に潜り込んだ怪人2体を相手にして、元大幹部たるデスコレートもさすがに苦戦しているようだった。 「きゃぁん……! えへへ~~、二人とも元気いっぱいだね? じゃあボクも、大幹部サマの強さをた~っぷり教えてくれよう~~♡」  攻撃をギリギリで受け流し、体制を立て直したデスコレート。  二人の怪人が迫る中、外した帽子に手を突っ込み何やらまさぐり始めた。  取り出したのは。  ――すちゃ  一本の、棒付きキャンディ。  「あ~~むっ♡」  ――ぱくっ ちゅぱっ ちゅぱっ ちゅぱっ 「な、なんじゃあ!? 戦闘中にアメ舐め始めおったのか!?」 「タダの飴ではあるまい。だが、何をしてもこの状況で……」  突然のことに意表をつかれた二人が、ほんの一時攻撃の手を緩める。  その隙に、デスコレートの体がぼんやりと光り輝いた。  ――ぴきぴきぴき……!  ――がきがきがきぃん……!  眩い光の中で、戦闘用コスチュームが解けていく。  艷やかなボディラインの表面を、透明感ある液体がトロトロと覆っていく。  ぴっちりと全身にまとわりついたそれはしなやかに固まり、デスコレートのシルエットを彩っていく。  やがて光の中から、現れたのは。 「へんし~んっ! デスコレートちゃん、キャンディ・アルミュール・フォーム♡」  ――ぺかぁぁぁぁぁ……っ♡  全身くまなく半透明のキャンディで、薄くぴっちぴちにコーティングされたデスコレートの姿だった。 「キャンディの……ボディスーツ!? あれが噂の……!」 「知っちょるのかイの字!」  何かに気付いた猪慎参に、オコノミ入道が反応した。 「うむ……! 甘魅姫のキャンディは変幻自在。ひとたび固まればその強度はあらゆる攻撃を寄せ付けぬと聞く。あれはスーツというよりも、鎧でござる!」 「なるほど、見た目以上の防御力なんじゃな? 厄介、な……っ」  相方に説明されたオコノミ入道は、あらためてデスコレートの全身を見た。  見て、しまった。  ――スケスケぇ~~~……♡  ――テカテカぁ~~……♡  半透明のキャンディコーティングの下に、やわらかく豊満な肢体がぎゅうぎゅうに押し込まれている。   「イ、イの字、ワシの気のせいかのう? あのスーツの下なんにも、なんにも……っ」  ――むにゅぅぅぅぅぅん……♡ みちっ みちぃぃぃぃ……♡ 「こーら? どこ見てるんだよ、えっちな怪人クンたち♡ くすくす♡」  特に胸元ははちきれんばかりで、さっきまでの戦闘コスチュームより露出度はむし減っているはずなのに、よりあられもない姿を見せられているかのようで。 「キャ、キャンディが透けて、なんにも、着てない、スケスケ……♡♡♡」 「……お、落ち着くにござるオコノミ! えぇい何故スーツを着込んで更にハレンチな格好になるでござるか!? どこまでもふざけおって甘魅姫……ッ!」 「ふ~~ん? さっきからキミ、ボクのこと随分詳しいけど……ひょっとしてボクのファン? ヴィネくんのお友達?」  スケスケぴっちりキャンディボディスーツを光らせつつ、デスコレートは首を傾げた。  その仕草ですら、悩ましい。 「だ・れ・が! むしろ否! 拙者の上官【旨】大幹部殿然り……貴女がたの如きハレンチな、色香を全面に押し出した戦い方! 拙者毛頭認められぬ!」  ――ジャキ!  しかしその扇情的なスタイルが、むしろ猪慎参の戦意を駆り立てた。 「ゆえに、あらゆるデータを集めシミュレート致した。拙者のプライドに賭け、そのふざけた態度をへし折ってくれよう」 「そ……そうじゃそうじゃい! うちのイの字はすごいんじゃけぇ!」 「へ~~、そうなんだぁ。あ、じゃあさ~~……このデータは、知ってる?」  喋っている内に冷静さを取り戻した猪慎。屈託なく相方を褒めそやすオコノミ。  そんな二人に、デスコレートは妖しげな笑みを向けた。 「フ、言ったでござろう。拙者、既にあらゆるデスコレート殿のデータを」 「ボクの――……スリーサイズ、とか♡」  瞬間、世界が固まった。 「は」 「ス、スリー……」  ――どたっぷん♡ きゅっ♡ ぷりぃぃんっ♡  言葉を失った二人の前には、ピチピチキャンディスーツに押し込められた魅惑のボディがわなないている。  ――ゴ、ゴクリ  生唾を飲む音がした。  猪慎とオコノミと、どちらのものかは分からなかった。 「えへへ、こないだまた(点々)おっきくなっちゃったからぁ、キミのデータとも違うと思うよ♡ 上からぁ………♡」 「う、う、う、うえ、から……♡」 「~~~~~ッ! い、否!!」  ――シュラァン! カキィィィィン!!    誘惑を振り払い、猪慎が刀を振るった。  白刃はあと一歩でかわされ、校庭に切り傷をつける。 「惑わされるなオコノミ! 連携さえ崩さなければ!」 「お、おぉぉ、な、なんであんな揺れとるんじゃ♡ つ、つなぎ目が、水飴? それであんな……あ、またっ♡」  ――ぶるんっ♡ ぶるんっ♡ たぷるるぅぅんっ♡  キャンディスーツの下で波打つバストに、既にオコノミの視線は釘付けとなっていた。 「あっは♡ どこ見てるの? 鬼さんこちら~~♡」 「オコノミぃ!!」  挑発と怒号が、また激しい戦闘音と共に校庭裏へ飛び交った。  ――キンキン! ジャキ―――ン! ※    戦いは、そう長くは続かなかった。 「もう逃がさぬでござるぞ、撒菱茸!!」  ――ぼふぅぅぅんっ!  ばらまかれたシイタケ型のマキビシが、薄茶色の粉塵をばら撒いた。  視界を遮られ、デスコレートの足が一瞬止まった。 「うわっ、なにこれ……キノコの胞子!?」 「や、やっとここまで追い詰めた……今でござるオコノミ!」 「お、おお! 油一丁!!」  ――ぼがん! どかぁぁぁぁん! 「きゃあぁぁんっ! ボ、ボクのスーツがぁ……っ」  オコノミ入道がボトルから噴射した炒め油が引火し、猛烈な爆風を起こす。  吹き飛ばされたデスコレートは、したたか地面に打ち付けられた。  ――どさぁっ 「やった! やったじゃけぇのう、イの字!」 「フ、フフフ! 確かに強固なキャンディではござったが、所詮は飴! 炎の前にはこの通りにござる!」 「………」  どうやら衝撃で、気絶してしまったらしい。  二人を翻弄したパティシエ怪人は、瞼を閉じてピクリとも動かない。 「よし、あとはトドメを刺すだけじゃなぁ! 悪く思わんでくれよ……ッ」  オコノミ入道の四本ある腕のうち、下の二本には巨大な鉄製の返しゴテが生えていた。  倒れ伏すデスコレートに、のしのし歩み寄ったオコノミは、人間も軽くひっくり返せそうな大きさのコテを振り上げる。 「覚悟せい! 甘魅、姫…………ん、な゛っ♡」  ――じゅぅぅぅぅ……  ――とろぉぉぉん……♡ 「ぅ……ん………っ」  そこで、動きを止めた。  デスコレートのキャンディスーツが、炎の熱で溶けていた。  そう、溶けて、いた。 (た、ただでさえスケスケのスーツが、溶けぇ……も、も゛、ほとんど、見え……っ♡)    とろん、と溶けたスーツの下で、真っ白な肌が光っている。  横向きに倒れたデスコレートの胸元。  キャンディの溶けた隙間から、ハリのあるバストが半分以上はみでていた。  「何をしておるオコノミ! 気絶している今こそ千載一遇! 速くトドメを!」 「お゛、う……わ、わかっちょる……っ」  しかしトドメを刺すはずのオコノミの耳には、さっきのデスコレートの言葉がこだましていた。  ――スリーサイズはね、上からぁ……♡  上からいったい、どうなってしまうのか、この、大きさ。  オコノミたちの仲間には、やたら体も胸もでかいバーガー怪人がいる。  だがこの胸は、でかいだけじゃない。形もハリも、極上で、柔らかそうで、トロトロで。  見ているだけで、心臓が、速くなる。  ――ドクンドクンドクン……♡ (戦う事しか興味がないこのワシが、何故じゃ!? 何故こんな、お、おおお、おっぱいなんかに、心奪われて……っ)  逡巡している、オコノミの前で。    ――ぱちっ♡ 「あ゛」  デスコレートの、目が開いた。  倒れる自分を見下ろし、硬直しているオコノミを見つめると。  ――じぃ……くすっ♡ 「えっち♡」  小馬鹿にするように、笑った。  オコノミの顔が、焼けた鉄板のように赤くなった。 「ち、ちがぁっ!! ワ、ワシは! そんな……っ!」 「そんなにボクのおっぱい、気になるの? 筋肉ムキムキで強そうなのに……と~ってもえっちな怪人クンなんだね、キミ♡」 「違うと言っておろうに! ワシは!!」 「オコノミ! 何を話している!? 奴が目を覚ましたのならすぐに……!」  急に言い合いを始めた相方を、猪慎参が急かした。  しかしそれを完全に無視して、デスコレートは更に問いかけた。 「ねぇ……そんなに知りたいなら、本当にサイズ教えてあげよっか? ボクのヒップ♡ ウェスト♡ それとぉ……」  ゆっくりと、上体を起こすデスコレート。  とろけたスーツの狭間から、爆乳がぽろんっ♡と今にもこぼれそうだ。 「キミが一番見てる――……バ・ス・ト♡」  ――ドクンっ♡ 「……っっ♡♡♡ そ、そんな、の……!」 「オコノミ!! くそ、奴の術中に!!」  さすがに状況を見かねた猪慎が、二人の間に割って入ろうとした。  だが。  ――ぐちょん! (な、んでござる!? キャンディに足を取られて、動けない!?)  その足は、いつの間にか地面に広がっていたキャンディの沼に絡めとられた。  横目でもがく猪慎を見ながら、デスコレートは目だけでほくそ笑む。 「それだけじゃないよぉ……? ほら、想像してみてぇ……?」  そして、とろけたキャンディ滴り落ちる爆乳を、オコノミの眼前でむにゅむにゅうっ♡ と揉みしだいた。 「お顔をボクの、とろとろおっぱいで挟んでぇ……息ができなくなるくらい、ぱふぱふ~~♡ とかぁ……♡」 「キミのビンビンになってるおちんちんクン♡ むにゅぅぅ~~っ♡ って挟んでズリズリ~~……♡ とかぁ……♡」 「ボクを追い詰めたキミにはぁ……ボクのおっぱいで好きなコト、させてあげてもいいんだけどなぁ~~……?」  キャンディの溶ける甘い匂い。  耳をくすぐる甘い言葉。  むにゅん♡ むにゅん♡ と弾む、爆乳の甘い動き。 (ぱふ……ぱふ……♡ ズリ、ズリぃ……♡)  甘い甘い誘惑が、オコノミの正気をとろかしていく。 「ワ……」  ――くすくすくす……♡  ――たぷぅん……♡ ふよぉん……♡ むにゅむにゅぅん……♡ 「ワシに、何を、しろ、と…………ッ」  オコノミの口が、勝手に動く。  それが自分の意思なのか、もうオコノミ自身には分からない。  ――しゅるるるる…… (何でござるか!? オコノミの首に何か巻き付いて……キャンディの首輪!?)  キャンディの沼でもがきながら、猪慎は見た。  自分の相方の首に、音もなく隷属の証がはめられていくのを。  だが、上げようとした声は。 「オコノ――……もがぁ!?」  顔にへばりついてきたネバネバのキャンディに、遮られてしまう。  「え? ボクのために、何かしてくれるの? わ~い、何にも頼んでないのになぁ~ありがと~~♡ それじゃあね……」  白々しいばかりの態度で、デスコレートが礼を言った。  そして、真っ白な指をスッと猪慎参に突き付けて。 「あの怪人を、やっつけて♡」  と、言った。  猪慎は、オコノミ入道の、相方の背中を見上げた。  デスコレートに向き合って静止している、相方の大きな背中を。 (オコノミ……なに、を……ッ)  ――がばぁ!!  オコノミが、振り返る。  その目には、ピンクのハートマークが浮かんでいた。 「おやすいごようじゃぁ~~~~っ♡♡♡」  完全に、洗脳されていた。  呆然とする猪慎をあざ笑うかのように、デスコレートの爆乳がぷるんぷるんっ♡ と、跳ねた。 「は~~い、それじゃ二人ともがんばってね~~♡ キャンディ・スワンプ、解除♡」  ――しゅるるるぅん!  可愛らしい掛け声に合わせて、キャンディの沼が引いていく。 「拙者のキャンディが外れた!? 動ける……くおぉ!?」  ――かきぃぃぃぃぃん!!  しかし、反撃している暇はなかった。  オコノミ入道の、猪慎にとって頼れる相方の攻撃が。 「すまんのうイの字! おっぱいぃ♡ おっぱいの為にっ♡ 消えてくれぇぇぇっ♡♡♡」 「オ……コ……ノ……ミ……っ! この、愚か者めがぁぁ!!」  怒濤のように押し寄せていたのだ。  ――キンキン! ガキィィィィン!! 「くすっ♡ キャンディ・シャックルズを嵌められちゃったらぁ……み~んなボクのワンちゃんになるのだ~♡ いけいけそこだ~~♡ どっちも負けるな~~っ♡」  ニコニコ笑いながら観戦に回るデスコレート。  いつの間にかボディスーツは元通りに修復され、キャンディ製の椅子まで出来ている。 「あ、これ思ったより美味し♪ 行列出来るだけあるねっ♡ ……でもうちのサンドイッチのがおいしいも~ん」  ――ずずずずぅ~~っ!  おまけに、ちゃっかりオコノミ入道達の屋台からくすねたお好み焼きを持ち出していた。  自らの前で同士討ちする二人を肴に、軽快な手つきで箸を運ぶ。 (拙者たちの、オコノミ焼きを食べている!? 甘魅姫、どこまで愚弄すれば……!)  相方の攻撃を受けつつ、猪慎は頭に血を登らせていた。  だがそこで、ある事に気が付いた。  (ま、待て? なんだあの元気さは? 拙者たちの連携攻撃に、追いつめられていた筈では……) 「あっ、忍者クンまでボクのこと見てる♡ くすくすっ、やっぱりボクのファンなんじゃぁん♡」  デスコレートの笑顔には、さっきまでの戦いのダメージは微塵も感じられない。  まるで自分の体力を今の今まで温存させていたかのように。 (まさか、フリ!? ヨロイを溶かさせたのも、気絶していたのも、オコノミに首輪を嵌める為の――……フリ!?)  そこに思い至り、猪慎参は戦慄した。  自分たちは、間違いなく全力だった。  全力で戦い、ようやく勝利を掴みかけていた筈だった。  だがそれも、何もかも。 (拙者たちは最初から甘魅姫の、デスコレート様の手の平の上だったのでござるか!? お、おぉ……) 「おぉぉぉ~~~~~~ッ!!」  絶望は悲鳴となって猪慎の喉から搾り出される。  しかしオコノミの巨大コテは無慈悲に襲い掛かり、猪慎の刀と競り合っていた。  ――ギャリギャリギャリィィィィィ……ッ 「も~~、なかなか決着つかないなぁ。ほらワンちゃん? 速く大技で、決めちゃってぇ?」  痺れを切らしたデスコレートが、二人に視線を向けた。  そして、視線が合ったオコノミ入道へと。 「ホラ、特別サービス♡ あはん……っ♡」  ――ぽよぉぉん……♡  ――ぱちんっ☆  コケティッシュに、ウィンクをした。  ぷるっぷるの爆乳を、弾ませながら。 「~~~~ッッッ♡ おっぱい! おっぱい、おっぱいぃぃ♡♡♡ 大炎上鉄板焼きぃぃぃっ!!」  目をハートにしたオコノミの頭に、湯気が舞う。  辺り一面にかつ節やアオサの粉塵が飛ぶ。  猪慎が、息を呑む。 「やめろ! それを使えば其方もただでは、オコノミ――……」  ――ちかっ!  ――どかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁん!!  瞬間、大爆発が起こった。  巻き起こった粉塵に、オコノミが油を引火させたのだ。 「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!! オ、コノミ……ッ」   断末魔と共に、猪慎参は吹き飛ばされた。  ――どさぁっ! ※  ――しゅぅぅぅぅ……っ  ソースの香りの、煙が立ち込める。  黒焦げになった猪慎が、横たわっている。  そして、自らも爆発で真っ黒焦げなオコノミが、椅子に腰かけるデスコレートへ跪いていた。 「でじゅっ♡ でしゅこれーと、様っ♡ 倒した! あいつ、倒したぁ!! だからおしえてっ♡ おじえて、スリーサイズッ♡」 「くす、くすくすくす……っ♡」  ――パチン!  デスコレートが、指を鳴らした。 「あと、ぱふぱふ、ズリズリィ♡♡♡ あと、あ、と……?」  オコノミの瞳に、理性の光が戻った。 「ねぇキミ、そんな事よりさ? 自分のやった事をもう一度、よく見た方がいいんじゃなぁい?」 「ワシ? ワ、シは……一体、何を………ッ!!!!」  言われてようやく、オコノミは背後を振り返った。  ――がばぁ!  ――じゅぅぅぅぅ………ッ  そこには、ピクリとも動かない相方の、無残な姿があった。 「かわいそ~~♡ 大事なお仲間クンが、キミの必殺技で黒焦げだ~~♡」 「うわぁぁぁ!? イ、イの字ぃ!? ワシは、ワシは何て事を……ワシは……ッ!!」  頭を抱えたオコノミを、デスコレートが嘲笑する。 「良い匂いだよね、ソースの♡ くすくすくす……っ♡」  歯噛みしたオコノミは、拳を握った。 「ぐ………! おお、お゛ぉぉっ!! ゆる、さん……」  そして、巨大コテを憎い憎い甘魅姫へと、振りかざした。  だが。 「許さんぞ甘魅姫ぅぅッ!!」  ――ひゅあぁ――……カチィィィン!!  巨大コテの、一撃は。  キャンディスーツをまとったデスコレートの右腕で、たやすくガードされていた。 「は、ワシのコテが、刃こぼれ……? なんじゃ、この、スーツは……っ」 「え~~? 大事なお仲間クンをぉ、おっぱい欲しさに攻撃したのはぁ……キ・ミ・で・しょ? あっはは♡」  甘魅姫のキャンディは、固まればあらゆる攻撃を受け付けない。  そこに転がっている猪慎参が、言っていたことだった。 「言うなぁ! ワシは……ワシ……は……っ」 「ほぉらそんな顔しないでぇ~? こっちおいでよ、優しくして……あげるから♡」  ――にゅらぁぁぁぁぁぁぁん……♡  キャンディのスーツが、変形する。  飴細工を作るように長くしなやかに伸びて、触手となってオコノミの手足に巻き付いていく。  ――しゅるるるるるる! ぱしっぱしっ! (捕まっ……か、傘みたいに広がったキャンディに……引っ張られ……ッ!!) 「きもちよく、なろ? キャンディ・ぱふぱふバキュームパック♡」  スーツの胸元だけが、大きく開いた。  引き寄せられたオコノミの顔面は、その、たゆたう爆乳の谷間へと。  ――むにゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん……♡ 「む゛ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ♡♡♡」  引きずり、こまれた。  キャンディに拘束されて、もがいても悶えてもデスコレートを引き剥がせない。 (キャ、キャンディが、おっぱいと一緒にワシの顔をつつみこんで、息がッッ♡ 力がぁ♡♡♡ む゛がぁぁぁっっっ♡♡♡) 「ボクのおっぱいでぱふぱふ、シて欲しかったもんね♡ やさしいボクはちゃ~んとご褒美をあげま~す♡ でもぉ、キミの実力じゃズリズリはお預けかな~~?」  いやいやするように、オコノミは爆乳の上で首を振った。  じっとりと密着するおっぱいが、むにゅん♡ ぶりゅん♡ といやらしく形を変える。 「む゛ごぉぉぉぉっ♡ お゛っ、おぉぉぉぉっ♡♡♡」  やがてキャンディスーツが拡がり、オコノミの頭ごと爆乳をじわじわ覆い始めた。  魅惑の谷間にうずもれたオコノミの頭が、半透明のキャンディでパッケージングされていく。 (空気が抜け……っ!? キャンディがどんどん、おっぱいごと、ワシの頭を圧迫っ、密封じでっ♡ おっぱいっ、おっぱいとぉぉぉっ♡♡♡)  ――みぢみぢみぢむにゅにゅにゅぅぅぅ……♡ 「あはっ♡ キャンディスーツでボクのおっぱいと真空パックになってるみたい♡ 良かったね? お仲間クンを裏切ってでも欲しかったボクのおっぱいだもんね?」  ぴっちりと、隙間なく。  オコノミの頭は、爆乳とひとつに密封されてしまった。  ――みぢみぢみぢぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ♡♡♡  ――ジタバタ ジタバタ…… 「む゛ぉごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」  呼吸など、出来る筈もない。  ただ柔らかすぎる爆乳の感触と、濃厚過ぎる谷間のフェロモンを嗅がされる。   酸欠になっても、気が遠くなっても、それすらも快感で。  当然、股間はもうパンパンになって弾け飛びそうになっていて。 「そのおっぱいに埋もれて逝けちゃうんだもん……シアワセでしょ? えいっ♡」  一触即発なオコノミのペニスを。  デスコレートが太ももで、軽く、撫ぜた。  ――ぐりんっ♡ 「~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッッッ♥♥♥♥♥」  ――びゅくくくくくくくくくくくくっっっ♥  真っ白な精液が、オコノミの股間で炸裂した。 「ア゛……お゛っ♥ あ゛ぁぁぁぁっ……♥」  ――びゅくくくくくくく♥  ――びゅくくくくくくく♥  これ以上ないほど、無様な敗北射精。  真っ白な濁流は止まる事無く、二人の足元に水たまりを作った。  ――しゅるるるるんっ  ――どさぁっ  キャンディスーツの真空パックが、解けた。  糸の切れた人形のように、オコノミはその場へ倒れ伏した。  「お゛……ッ♥ お゛っ♥ でしゅこれーとサマ♥ おっぱいを、もっと、もっと……オ゛ッッッッ♥♥♥」  みじめったらしく、それでもまだ快楽を求める、オコノミの顔面を。   ――ぐりぃぃぃ……びゅくくくんっ♥  デスコレートのヒールが、踏みにじった。  また、敗北のあかしが、飛び散った。 「あ~あ、ひっどい顔。こぉんなムキムキの体してるのに、女の子に負けちゃってなっさけなぁ~い♡ くすくすくすっ♡」 「よ、くも……ッ!」  ――キィィィィィィィィン!!  それは、完全な不意打ちの筈だった。  勝ち誇るデスコレートに、音もなく背後から忍び寄っていた猪慎参。  必殺の一閃は、相方の仇を討つ――……筈だった。 「なん!? スーツが溶けて……キャンディの、壁にッ!?」  だが刃の前に、半透明の障壁が立ちふさがる。  その向こう側では、スーツを半分ほど解いたデスコレートがやはりニヤニヤ笑っていた。 「あれれ~? キミ、まだ戦えるんだぁ? もうダメだと思ってたのになぁ~……ボクに踏まれてるワンちゃんのせ・い・で♡」 「~~~ッッッ!! オコノミから足をどかせ卑怯者! よりにもよって同士討ちさせるとは貴様! 貴様ぁ!!」  激高する猪慎参に、デスコレートは冷ややかな視線を送った。 「女の子に二人がかりのキミたちに言われたくありませ~ん。それに、勝つ為ならばあらゆる手段も使うんじゃなかったの? ねー、ワンちゃーん♡」  ――ぐりぐりぃっ♡  そして、足元で悶えるオコノミ入道を更に踏みにじった。 「ひぐ……ひぃぃっ♥♥♥」  ――びびぐんっ♥ 「オコノミ!! くっ、この、こんな、こんな壁、拙者の二刀流でぇぇぇ!!」  飛び跳ねるオコノミを見て、猪慎の怒りは頂点に達した。  両手に日本刀を携えて、目にも止まらぬ速さでキャンディの壁を滅多切りにする。   ――ギャギャギャギャギャ!!  しかし、刀はむなしく火花を立てるばかりだった。 (なんという強度!? 特製兵糧板から取った超回復出汁で、何倍にもパワーアップした拙者の斬撃が……!)  まったく、通用していない。  猪慎の額に、冷や汗が流れる。 「ほらほら、がんばってぇ~~♡ まだボクのおっぱいに傷一つつけられてまちぇんよ~? くすくす……♡」  必死の猪慎を煽るかのように。  ほとんど露わになった爆乳を、半透明の壁の向こう側からデスコレートがむにゅむにゅ押し付けた。   ――むにゅぅぅぅぅん……♡ ぐりぃぃぃん……♡  壁で潰れた乳頭の動きが、猪慎の脳細胞を更に麻痺させる。 「ふ、あ……っ♡ か、壁におっぱい、押し付けぇ♡ く……そっ、くそぉ! オコノミ、今助ける!」  それでも刀を振るい続ける、猪慎。  この壁を、そしてその向こう側でほくそ笑む甘魅姫をたたっ切らんと何とか己を奮い立たせる。 「拙者は! 拙者たちは、こんなハレンチな女になんかぁぁぁぁ!!」  だが、そんな努力も。  ――バキ! ガシャァァァン!!  すべては、砕け散った。  粉々になった刀の破片が、宙を飛ぶ。 「あ……あ……っ、拙者の、拙者の刀が……阿児刀に、入子刀ぁ……」 「ざ~んねん♡ キミたち二人の友情もぉ……女の子のおっぱいには敵いまちぇんでちた~~♡」  ――しゅぱぱぁ!! ぐにゅにゅぅぅぅん……!  役目を終えたキャンディの壁が、デスコレートのスーツに戻っていく。  そしてその手元にも、流体となったキャンディが集まりあっという間に硬質化していった。 「ピンキィ・ホールケーキナイフにもう一振り、キャンディ製のシュクルダール・サーベル♡ 喰らえボクの二刀流~~っ♡」  いつの間にかデスコの両手には、身の丈ほどもありそうな巨大なケーキナイフと、キャンディ製のサーベルが握られていた。  猪慎は、とっさに対応出来ない。 (な、速………ッ!?)  デスコレートが、踏み込んだ。  そう思った、矢先には。   ――ズバババババババンッ!! 「クロス・シュクルダール・スラッシュ……♡ はい、おしまい♡」  猪慎の全身は、数百の斬撃に襲われていた。  ――ズバァァァァァァァァン!! 「がぁぁぁぁ………っ!? げ、ふ………っ」  今度こそ、本当に。  猪慎は、戦闘不能状態となった。 (そんな……純粋な実力ですら、勝てない、だ、と……っ)  ――どざぁっ!  ――がきん! がきん! がきぃぃぃぃぃん!!  屈辱に涙する、そんな時間すら与えられはしない。  倒れた猪慎の両手足に、半透明の枷がはめられる。 「しまっ、キャンディの、拘束……!」 「さぁてと♡ ここからはキミのだ~いっきらいなハレンチ攻撃♡ 心ゆくまで楽しんでもらおっかな~~♡」  顔を上げれば、にっこり微笑むデスコレート。  その胸元を覆うキャンディスーツが、またじわじわ自ら溶け落ちていく。 「ほぉら、キャンディスーツの中でぇ……ムワムワ蒸れたボクのおっぱいちゃんでちゅよ~~? きもちよさそうでしょ?」  ――どたぷぅん……♡ もわっ……むわ……っ♡ だぷぅん……♡  スーツの中から現れた、淫らに波打つ真っ白な乳房。  ほこほこと汗と蒸気を放って、猪慎の顔に影を落とす。 (これが、これが、甘魅姫のなまおっぱい……っ♡ しゅ、しゅごっ♡ ちかいっ♡ ちかいぃぃっ♡)  あまりにも、えっちで、おっきくて、やわらかそうな、おっぱい。  既に思考を放棄した猪慎は、手をかざし、揺れる爆乳に命乞いした。 「あ………、まって、まっ……て……」  その下で、忍び袴がビンビンにテントを張り、シミを作っていた。  もうこうなっては、恥もなにも、なかった。 (あ、ダメだ♡ ちんこ、勝手に勃つ♡ がまん、できないっ♡ こんな、こんな、おっきくて、エロすぎる、おっぱいになんかぁ……♡) 「だーめ。皆の学園祭を台無しにされてぇ……ボクだってちょっとは、怒ってるんだからね? 容赦なんかしてあげませ~~ん♡」  ――もわもわぁ……♡ たぷんたぷぅん……♡  ただ迫る、爆乳に。  猪慎は、成す術もなく。 (勝てっこ………ない………)  のみ、こまれた。 「身の程知らずの怪人クンはぁ……ぱふぱふの刑だ~っ♡」  ――むぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♡ 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッッ♥♥♥♥♥」  ――びゅるるるるるるるるるるるるっっっ♥ ※ 「ほぉら、二人ともぉ? もっとペロペロがんばってぇ~~?」 「はぐっ♥ えろっ♥ えろぉぉっ♥」「ペロペロ……れろっ、デスコレート様っ♥ を゛ぉっ♥」  ――ぺろっ ぺろっ ぺろぺろっ  しばらくして。  校舎裏駐車場のど真ん中では、ゆったり足を組みいすに腰掛けるデスコレートと、その横にかしずく、二人の怪人の姿があった。 「ボクのおっぱいを包んでるぴっちぴちキャンディスーツ♡ 全ぇん部舐め溶かせたらぁ……またぱふぱふシてあげてもいいんだぞ~~?」  目にハート型を躍らせる二人は、必死に首と舌を伸ばし、デスコレートの爆乳を懸命に舐めていた。  首や手足には、キャンディの枷が光っている。   「速く舐め溶かさないとぉ……キミたちにはめたキャンディ・シャックルズが、全身カチカチコーティングしちゃうぞ~~? ほぉら、速く速くぅ♡」 「はをを……ッ♥ 舐めましゅ♥ 舐めましゅからぁ……♥」「ぱふぱふぅ♥ おっぱい、してぇ♥ ぺろ、ぺろぉ……っ♥」  デスコレートの言葉に促され、二人は更に舌を動かすスピードを速める。  その表情に理性はなく、声は幸せにとろけきっている。 「えへへっ♡ 二人ともと~っても自信満々だったのに、すっかりボクのおっぱい奴隷になれたね♡ くすくすくす♡」 「どーお? おっぱいの為に大事な人を裏切ってもぉ~~……みっともなぁ~~く負けちゃってもぉ~~……今はもう、どうでもいいでしょ?」 「だってぇ……キミたちにはボクのおっぱいだけあればいいんだもんねぇ……? 友情もプライドも何もかも、どうでもいいよねぇ……? くすくすくす♡」  デスコレートの言葉にも、人形のように頷くばかりだ。 「はひっ! はひっ♥ おっぱいぃぃ♥ おっぱいさえ、あればぁぁっ♥」「全部どうでもいいでしゅっ♥ シアワセでしゅぅ……っ♥ えろっ♥ えろぉぉっ♥」 「ふふっ♡ そ~だ、お情けで教えてあげよっかなぁ~~? さっきは言わなかったぁ……」  そんな二人に、わずかに顔を寄せて、デスコレートは小さな声で。 「ボクの……スリーサイズ♡」  囁いた。 「~~~ッ♥♥♥ えろっ♥ ぺろぉっ♥」「すりーしゃ……すりーしゃいずぅぅ♥ えろぉっ♥」  ――ぴきぴきぴきぴき……っ  二人の手足の枷から、キャンディのコーティングが拡がっていく。  既に肘や膝のあたりまでは、完全にガチガチ固められていた。 「あのねぇ……上から、バスト100♡ ウェスト58♡ ヒップ85♡ ……だよ♡」  二けたに、達していた、サイズ。  その数字に、二人の体でまだ固められていない部分が震えあがった。 「ふぁ……♥ あ……っ♥」「ひゃ、ひゃくぅ……♥♥♥」 「うん♡ 大きくなっちゃったって言ったじゃん? 前はHカップだったのがぁ……二つも飛んでJになっちゃったんだよね♡」  J。  自分たちが今、ぺろぺろ必死で舐めているもののサイズ。  その単語の意味に、二人の気が更に遠くなる。 「じぇ……じぇい……ッ♥」「じぇい……かっぷ……♥♥♥」 「そっ♡ じぇいかっぷ♡ 今キミたちがペロペロしてるのはぁ~~……ボクのJカップ♡ キミたち二人でも全然敵わなかったのはぁ……♡」  遠のく意識に合わせて、下半身がガクガク揺れる。  触られてもいないのに、自然に、限界まで膨張しきっていた二人の陰茎が同時に脈打って。 「ボクの――……じぇ・い・かっ・ぷ♡」 「ふぁ゛ぁぁぁぁっっっ♥♥♥♥♥」「あ゛ぁぁぁぁぁぁっっっ♥♥♥」  ――びゅくびゅくびゅくびゅくぅぅぅ……♥  射精、した。  キャンディのコーティングが、急速に広がっていく。 「ちょっとぉ……サイズ聞いただけでびゅくびゅくざーめん漏らしちゃうコがいる? そんなにいっぱい、射精(だ)しちゃったらぁ……」 (ァ~~~~~~~~ッ♥♥♥♥♥)(ァ~~~~~~~~ッ♥♥♥♥♥)  肩、胴、首元まで。  一気にキャンディによって二人の全身は包まれて。  ――ピキピキピキピキピキ…… 「キャンディコーティングが速くなるって……もう、遅いか♡」  そして、ついに。  ――ピキィ~~~~~~~ン!! (あ゛へ……っ♥ おっぱ♥ ぺろぺろ、ぺろぉ……っ♥)(じぇい、じぇいかっぷ……♥ ですこれーと、しゃま♥ 好き♥ しゅき♥ ひひぇ……♥)  完全に、キャンディの中へ、全身が塗りこめられた。  デスコレートは小さく笑うと、カチコチになった二人の頭に両手をついて、立ち上がった。 「あ~あ、せっかくハジメテの3人プレイだったのに、こんなんじゃボク物足りなぁ~~い!」  キラキラ光の粒になって、コスチュームが通常の戦闘スタイルに戻っていく。  それだってとんでもない露出度なのだが。  そして二人の姿をジロジロ見回すと、閃いたと言わんばかりに手を打った。 「そだ! シルバーくんにまた、これ見せてあ~げよっ♡ ここにコットンキャンディ添えたらもっといいかなぁ……うんっ! やっぱりボクってば天才パティシエだね♡」 (ぺろ……ぺ………♥……ア……)(ひ………ぅ……♥……♥……ッ)  キャンディからは、二人のか細い喘ぎ声が、聞こえ続けていた。  そのあと、ヒーローのシルバー・ブリッツが。  要するに、俺が駆けつけるまで。 ※ 「って、事があったんだよ♡」 「…………そうか」  下宿先の、アパートの中。  デスコレートの長い話を聞き終わった俺は、静かにうなずいた。  なんでこいつは俺の家にいるんだ。  なんで俺はこいつの、こんなエロい戦いの話をじっくり聞いているんだ   「……ちょっと、ちょっと夜風に当たってくるな」 「はいは~い♡ この後、えっちな女の子に負けない特訓なんだから、逃げないでよね~!」  いや、それにしても。なににしても。  この下半身のうずきは、どうすればいいのか。  立ち上がった俺は、デスコの言葉に生返事で答え、ベランダに出た。  ――ガラガラ……  夜空には、ちらほら星が輝いていた。  あの後、フード兵に回収されてしまった猪慎参はともかく、オコノミの方はキャンディから助け出して正気に戻ったはずだ。  俺は、あの屈強なフーディリアンの、怪人化が解けたときの笑顔を思い出しながら、夜空を見上げた。 「…………アルさん、正義と悪の違いって、何だろうな」 『現実から目を背けるな、誠二』  ですよね。  背後では、ガラス越しにデスコレートがニッコニコしている。  俺は覚悟を決めて振り返り、窓に手をかけた。  開ける瞬間、まだ学園復旧作業をしているオコノミに、何か差し入れをしてやろうと、心から思った。 (おわり)