頂点 「とうとうこの日が来たな……!!」 黒獅子のキョウが勇んでリングに上がったのとは対照的に、チャンピオンのナギの足取りは重かった。 「何でエロレスなんだよ……」 ぶつぶつと文句を言いながらも、薬の所為でチンポはすっかり臨戦態勢になっている。赤いレスリングパンツを押し上げるそれは、チャンピオンに相応しく凛々しい物であった。 「今日は、勝つ!!」 キッと引き締まった表情になり、ナギは戦意を露わにする。並みの相手ではそれだけで足が竦み、瞬く間に技を決められ医務室送りになるだろう。 しかし、相手は残虐非道、ルール無用の裏の王であるキョウ。飄々とプレッシャーをかわし、性欲を隠そうともせず相対する。実力も有り、正統派のナギとしてはこれ以上無い程やりにくい相手だ。 「また俺様のテンタクル・バインドで焦らしてやるよ」 黒い鞭の様な尾を揺らして、キョウは大笑した。ナギの脳裏にあの苦々しい記憶が蘇る。 「……殺す」 戦意が殺気に変わり、さすがのキョウも威圧された。ゴングと同時にナギが跳躍する。 「うおおっ!!」 巨体を裏切る速度と高さで、ナギは斜め上空からラリアットを叩き込む。キョウは間一髪でそれをかわした。 「あぶねぇ」 内心ひやりとしながらも、キョウは余裕の笑みを浮かべた。まさか開始数秒でダウンしたら、トウとイノに示しがつかない。 「オラァッ!!」 ナギの繰り出した足払いに左足を取られ、キョウはバランスを崩す。が、そのよろめきを利用してキョウは体重をかけて肘打ちをナギに放つ。ナギは急遽ポイントを外しに回避したが、キョウの肘打ちはそのまま手刀に変わり厚い胸板に叩き込まれた。 「今日は妙に熱いな、なんか怒ってんのか?」 「う、うるさい!!」 図星を突かれ動揺するナギを楽しげに眺め、キョウはもう一度手刀を放った。ナギはそれを完全に見切り、がっちりと腕をホールドする。 「折ってやる……降参するなら今の内だぞ」 「甘い!!」 カッとキョウは目を見開き、何をするかと思えば尾を使ってナギの脇腹をくすぐった。 「んなっ!!」 緩んだホールドからするりと腕を抜き、キョウは強烈な蹴りをお見舞いした。 「グアアアッ!!」 「ナギ、お前はいつも油断して負けそうになるな。俺様は頭脳派だからちゃんとお前の試合を分析してるんだぜ」 他の試合など眼中に無いだけなのだが、それを指摘出来る猛者はここにいない。 「オラッ!!」 尻餅を突いていたナギに追い討ちで三度手刀を入れる。反則とされる首を狙った攻撃だった。 「ガッ!!ゲホッゲホッ!!」 首を押さえて痛みに苦しむナギ。涙を流したその表情は、キョウのサディスティックな願望を満たしていく。 「いいぜ……たまんねぇなぁ、その顔…」 ざらつく獣の舌でナギの涙を舐めとると、強引にレスリングパンツの中に手を入れ、ズル剥けたイチモツを愛撫し始めた。 「グウウウウッ!!」 薬で何倍にも敏感になっている亀頭を肉球で撫でられ、ナギは熱い吐息を出した。 「この前よりもっと気持ち良くさせてやるよ」 その言葉に、期待をしてしまっているナギが居た。自分自身の性欲に彼は驚きを隠せない。キョウの汗で湿った獣毛が絡み付き、ガッチリとした筋肉が触れ合った。 (あ、熱い……) 肉体の火照りが何に由来しているのか、鈍感なナギには全くわからない。野獣としての本能が、キョウのカラダを、セックスを望んでいるという事に。 「目覚めちまいそうなんだろ?」 全てを見越したキョウが笑った。ナギさえ堕ちれば、当面のキョウの野望は達成された事になる。疼くチンポをレスリングパンツから解放させ、根元まで剥けた赤黒い巨根を取り出した。キョウの興奮と連動するかの様にそれは脈打っている。 「だ…れが……ッ!!」 「グウッ?!」 油断していたキョウへの蹴りは鮮やかに決まり、ナギは反動で起き上がる。レスリングパンツはズレて、どちらのチンポも丸出しになっていた。 素早くホールドにかかるナギに対し、キョウは隠し持っていたメリケンサックで強かに彼の脇腹を躊躇無く殴る。ナギは一瞬怯んだが、チャンプの意地で耐え抜いた。 「クソッ!!放せえぇっ!」 凶悪さを滲ませた声でキョウが怒鳴る。ナギはキョウの右足を固め、万力の様に腕で締め上げた。 「グ……ォォォオオッ!!」 苦悶に歪む黒獅子は、ナギのカラダを間近で見て、ピンチでありながらも釘付けになっている。 (何てエロいガタイなんだ…) 鼻孔いっぱいに吸い込んだのは、愛しいナギの匂い。キョウの反り立つチンポからガマン汁がダラダラと流れ出した。 「く……俺様は、負けねぇっ!」 「諦めろ!今日は俺が勝つ!!」 「グアアアッ!!」 更に強く技をかけられ、キョウは余裕を無くして喚いた。ビクンッと肉棒が痙攣し、どろりと濃い液体がせり上がってくる。 ナギは躊躇いながらも、どうすればこの闘いが終わるのかわかり始めていた。キョウはきっと足を折られても参ったと言わないだろう、ならば――。 恐る恐る手を伸ばし、黒毛に包まれた玉袋に触れる。 (これが正しくないのは分かってる、けど……) ナギは相手を傷付けたりするくらいなら、自分の掟を破る事を選ぶ。特にそれがキョウの様な素晴らしいレスラーなら尚更だった。 分厚い掌が優しくキョウの金玉を包む。強く、それでいてリズミカルに揉み、竿を扱き始めた。 「ウオオオォォォッ?!」 「降参しろ!そうじゃなかったらまだやるぞ!!」 何かに耐える様に、キョウは沈黙を守った。そして、 「ク……ソ………アアッ?!ガアアアアアアッ!!」 ドプッドプッドプッ…… 弓なりに全身を突っ張らせ、キョウは黄色がかった精子を大量に射出した。肉棒とナギの両手はドロドロに汚れ、獣臭さがリングに充満した。 「どうして……」 ぼそりとナギは呟く。リベンジを果たしたナギはしかし、途方に暮れた表情をしていて勝利の喜びは微塵も無かった。 キョウの顔は照れた様な、それでいてふてくされた様な面持ちで、目には涙が浮かび、つうっとそれは流れ星の如く横向に滑った。 「どうして降参しなかったんだ?」 キョウのプライドの高さから、そうするものだとナギは思っていたのだ。掟を破って性的な攻めに転じたのも、それを見越しての事だった。プロレスで勝たなければ、その勝ちに意味はない。それがナギの哲学なのだ。 「お前になら……イカされても良いって思ったんだよ」 ぷいと横を向いてキョウは言った。赤面しているのだが、ナギはそれに気づかずに「何で?」と無粋な発言を繰り返す。 「俺様が勝ったら!!お前を俺様のものにしようと思ってたのに!!」 悔し涙を滲ませてキョウは子供の様に喚いた。リングサイドのイノとトウが両手で顔を覆う。 「へ?」 それでも伝わらないナギの素っ頓狂な返事を聞いて、子分二匹は天を仰いだ。 「お前が好きだ!!バカ!気付けええっ!!!」 会場が激震するかの様な怒声を響かせ、キョウはがっくりと身体の力を抜いた。 「な、なな何言ってんだよ!!みんなの目の前で!」 「もういい疲れた」 「何だよそれ!!」 ぐったりとやる気なく身を投げ出すキョウをナギはポカポカ殴る。本人はポカポカのつもりだが、実際はドスドスと重みのあるものだった。 「痛ぇよ!」 「あ……ごめん…」 シュンと萎れるナギを見て、キョウはまたムカムカと腹が立ってくる。 「えー、でも俺もキョウの事好きだしー」 照れながら爆弾発言をするナギに、キョウは飛び起きる。 「ホントか?!」 「……うん。子分にはならないけどね、勝ったし」 キョウは緩みそうになった顔を引き締め、緩み、引き締めを数回繰り返し、ナギに飛びかかった。 「イチャイチャしてるな」 「イチャイチャしてるね」 イノとトウは部屋の隅でコソコソと話した。ナギの毒抜きと称したセックスは、かれこれ4時間は行われている。晴れて公認となった獅子のカップルは、子分達をほっぽり出して絶倫の極みを見せつけていた。 「キョウ様、俺達の事忘れちゃうんじゃないか」 「そんな……!」 イノは悲痛な叫びをあげ、ちょっと泣きながら部屋を出て行った。 「キョウ!!俺……出るっ!」 「馬鹿!中に出すなってえぇぇっ!!」 トウは首を振って、ティッシュを数枚イノの為に持って部屋を後にした。